霧ヶ峰とは

車山から鷲ヶ峰にかけて、ゆるやかな起伏が続く霧ヶ峰高原。レンゲツツジやニッコウキスゲ、マツムシソウなど、季節の高山植物が緑の草原を色とりどりに染め上げます。富士山やアルプス、八ヶ岳連峰など、日本が誇る名峰も一望のもとに。また、一帯に豊かな上昇気流が発生し、グライダーの飛行に適している霧ヶ峰高原は、日本のグライダー発祥の地としても知られています。

霧ヶ峰三大湿原

車山・八島ヶ原湿原・池のくるみ踊場湿原とで形成される霧ヶ峰三大湿原は、年間を通して400種類以上の亜高山植物を観察することができます。国の天然記念物にも指定されており、世界的にも珍しい湿原です。

霧ヶ峰 基本データ


標高:1600m


平均気温

1月

-7.1℃

2月

-6.7℃

3月

1.4℃

4月

7.6℃

5月

11.5℃

6月

14.7℃

7月

20.4℃

8月

19.8℃

9月

14.3℃

10月

9.4℃

11月

4.7℃

12月

-2.4℃

ドローン撮影は特別な許可をとって撮影しております。

霧の発生について

霧ヶ峰高原には、明け方の上昇気流によって、水蒸気を多く含んだ空気が諏訪湖から運ばれてきます。気温は100m上昇するごとに0.6度低下していくため、諏訪湖よりも1,000m高地にある霧ヶ峰では、湖上より6度気温が低くなります。このため、急激に冷やされた水蒸気が凝結し、霧が発生します。霧は空中に浮遊する目に見えないほどの微細な水滴が光を散乱・吸収することで視界を妨げる現象です。気象学上では、水平視程1km未満のものを「霧」、1km以上10km未満のものを「靄(もや)」と呼んで区別しています。また、水平視程200m未満の霧を、特に「濃霧」と呼んでいます。

高層湿原のなりたち

枯れた植物が寒冷な気候などのために分解されずに泥炭となって推積し、泥炭層が水面よりも上に発達しない湿原を低層湿原、これに対し、水面より高く泥炭層が成長した湿原を高層湿原といいます。高層湿原の形成には、湿度が高い・池の水に微生物が少ない、そして低音・貧栄養・酸性であるといった複数の条件が必要です。八島ヶ原高層湿原の歴史は次のようです。第1段階、1万2千年ほど前、霧ヶ峰一帯の火山活動が終わった後、溶岩のくぼみに水がたまって沼ができます。そこに土砂が流れ込み、スゲやヨシ等が繁殖。これらの植物が分解されずに堆積するため、水が酸性になり、ミズゴケの成長に適した環境に変化していきます。これが第2段階で、ここまでくるのにおよそ4500年かかっています。

第3段階として、泥炭層は水面より上に成長し始めます。よく見ると湿原内に小さな凸凹がありますが、これが湿原の成長の秘密なのです。霧ヶ峰では年間で200日前後霧が発生するため、霧が凹所にたまり、雨水とともにミズゴケの成長に深く関係していると考えられています。やがてそれは新しく凸所を形成。次の年には凸所と凸所の間の凹所にミズゴケが成長して、また新しく凸所を作ります。この繰り返しを何千年も経て、湿原全体が水面に押し上げられたものが高層湿原です。八島ヶ原高層湿原はこの凹凸の繰り返しにおよそ5500年の歳月を費やした、世界的にも貴重な高層湿原なのです。